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2006年11月19日 (日)

二中歴の将棋駒の名称

現在の将棋の駒は、玉将または王将・飛車 (成ると龍王) ・角行 (成ると龍馬) ・金将・銀将 (成ると成銀) ・桂馬 (成ると成桂) ・香車 (成ると成香) ・歩兵 (成るとと金) の8種類。
「二中歴」の記述の時点ですでに、玉将・金将・銀将・桂馬・香車・歩兵の6種類は存在していました (成り駒の名前はなく、金将になるとだけ書かれている) 。

これら6種類の駒について、文字ごとに分割してみます。
上の文字を取ると、玉・金・銀・桂・香・歩。
下の文字を取ると、将・将・将・馬・車・兵。
このことはすでに日本中将棋連盟のサイトなどで紹介されているのですが、上の文字は歩を除いて、仏教の宝物に関係するものだと考えられています。下の文字は、将棋の源流とされるチャトランガにすでにあった、王・将軍・象・馬・車・兵の駒を漢訳したものでしょう。

「王」と「象」が消え、「将」が3種類。
平安時代、「王」は天皇を示す言葉でもありましたから、駒に当てるのは憚られたのかもしれません。あるいは、「王」と「玉」の文字が似ているというのも理由かもしれません。
「象」は、平安時代の日本人には象が何者であるか知らなかったために、駒から象の名称を捨てたのかとも考えました。ところが、橿原考古学研究所附属博物館 (興福寺出土駒を展示している施設) で、古墳時代の副葬品から象をかたどった馬具が出土しており、象が知られていなかったとはいえないということになります。

そして、成り駒はすべて金将であり、成る前の駒による区別はありませんでした。現在、区別するためにつけられた名称は「成銀」「成桂」「成香」「と金」。前3者はもとの駒に「成」をつけただけ、「と金」は略字の形状からですから、宗教的、伝説的、あるいは駒の働きを示すような名前のいずれでもありません。
これは、成り駒の名称がもとの駒の区別のため以上の意味を持たないということになりますし、成り駒に名称がついたのがごく新しい時代であったということもいえるでしょう。

要するに、成り駒に区別の必要がなかった時代が長らく続いていたということです。卒業論文には書きませんでしたが、持ち駒制度がかなり新しい時期に導入されたことの傍証にもなるのではないでしょうか。

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