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2011年2月27日 (日)

[読書メモ]羽生善治『大局観』

大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)(羽生善治)

ビジネス書の著者の中で好きな人をあげるとすれば、自分の場合はまず間違いなく、羽生名人の名前が入ります。
羽生名人、もちろん本業は将棋のプロ棋士ですので、著作は棋書(将棋の上達のための書籍)に偏っていますが、棋書以外のこういったビジネス書や対談集が、将棋に詳しくなくてもわかりやすく、かつその考え方が非常に参考になります。

中学3年生のときにプロ棋士になった羽生名人も、現在は40歳。デビューしたての若い頃と現在との違いを、「大局観」という言葉で表しています。いわく、若い頃のほうが手を「読む」力はあったが、経験を積むごとに「大局観」がついてきて、読みだけで手を進めなくてもよくなってきた。
大局観を私なりの言葉で説明すると、大所高所から物事を分析し判断する力ということになるかと思いますが、経験を積むことで自分の目の前の問題の全体像をつかむことができ、不要な選択肢を最初から取り除けるということがいえるのではないでしょうか。

選択肢という意味で、おもしろい分析が冒頭にありました。
「多くの選択肢から1つを選ぶのと、少ない選択肢から1つを選ぶのとでは、あとになってどちらがその選択を後悔しやすいか」。
経験的にも当てはまると思いますが、選択肢が多いほど、後悔しやすいとされています。選ばれなかった手段については、メリットは見えてもデメリットが見えにくいため、選択肢が多くて迷えば迷うほど、選んだ手段だけデメリットがあったように思えるからでしょう。

大局観について掘り下げているのは第1章ですが、その他の章も含蓄があります。とくに第3章は「負けること」という章題がつけられており、負け=失敗から得られることや、さらにそこから発展して記憶や情報の扱い方といった部分で、勝負師ならではの視点で書かれています。
ただ、将棋とチェスとの比較は、ページを割く必要があったかどうか。チェスのルールにおいて明らかな誤りもあり(羽生名人はチェスも指すので、羽生名人自身の誤りというよりも編集ミスだと思うが)、ここは疑問手かなと思いました。

以前このブログにも取り上げた、ヨットレーサーの白石康次郎氏のお話や、経済評論家の勝間和代さんとの対談のことも書かれています(勝間さんが会った棋士というのは、やはり羽生名人だったのかな)。ほかにも映画『アバター』や経済書『ブラック・スワン』(これも去年読みました)などにも言及されており、幅広く書籍や映画などで知識を得ている人には、何倍もおいしい書籍になっているかと思います。

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