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2011年2月 9日 (水)

[読書メモ]ティム・ハーフォード『人は意外に合理的』

人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く(ティム・ハーフォード)

昨年から読書会に参加するようになり、経済学のそれなりに分厚い本を読むようになりました。といっても経済学を体系的に学んだこともなければ本職でもなく、それゆえにもっぱら読み物的なものしか読んでおらず、素人に毛が生えた程度ではあるのですが、この本はそれなりにおもしろく読めました。

経済学の理論といえば、現実にはあり得ない制約や単純化がなされた市場モデルや、難解な数式の羅列というイメージがありますが、本書で取り上げられるのは日常生活の中の、およそ経済学とは関係のなさそうな問題であり、数式を全く使わずに人の行動を解いていきます。
経済学のモデルでは人間は完全に合理的な判断を下す前提ですが、実際には趣味嗜好もあれば感情もある。そのため不合理に見える判断を下すこともありますが、実は不合理に見えるという私たちの常識のほうを疑うべきだ、というのが、本書全体を通した考え方と言えるでしょう。

さて本書、1章がいきなりセックスの話なので、読んだ矢先にどん引きする人もいるかもしれません(しかも2章がギャンブルの話だから、なおさら)。ですがセックスもギャンブルも経済学の理論から、常識に反すると思われる行動が実は合理的だったということを導いています。

後半の、都市と農村(人口過密と過疎)の問題は、自分の経験としてよくわかります。2009年に、自分は徳島から東京に転職し、住まいも埼玉に移しました。元の仕事が嫌だったということはなかったのですが、東京という大都会が持つ強い魅力――多くの人に会え、刺激を得て、知識を獲得すること――にとりつかれ、住宅や通勤の環境が悪化することは受け入れることができました。
それと同じことが、多くの人の身に起こっているのだというのがわかります。交通網の発達とインターネットの普及で、地球のどこにいても同じものを食べ、同じ情報を得ることができます。ところが実際には生きた情報を得るため、人の多いところにさらに人が集まってきます(交通網の発達により、移動も楽になったことも理由でしょう)。これが、都市がさらに発達し、農村がますます過疎化するロジックです。

こういった、一見不合理に思えることが実はそうではない、ということが、経済学の立場から見えてくるというのは、非常に示唆に富んだ話だと思います。
先日のブログにも書きましたが、大相撲の八百長問題を経済学的に研究する人はいないでしょうか。

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