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2011年3月21日 (月)

[読書メモ]竹田恒泰『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』

日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか (PHP新書)(竹田恒泰)

日本に生まれ、日本でだけ生活していると、自国の悪いところばかり目についてしまいます。ですがよくよく考えてみると、自分の住むところについては悪い情報が入り、そうでないところからはあまり入ってこないため、「隣の芝生は青い」となってしまっている部分はないでしょうか。この本はそれを考えさせられる一冊でした。
外国から日本を評価すると、こちらが気恥ずかしくなるくらいポジティブな情報も出てきます。本書はそのポジティブな部分だけをすくい取ってまとめたという感じでしょうか。

これの直前に読んだのが「日本辺境論」でしたが、両方をあわせて読むと今の日本がおかれている問題のひとつについて、その根本が見えてきます。それは、愛国心。
国の成り立ちにおいて、日本が諸外国と全く異なる部分は、日本がいつ、なぜ建国されたのか、どこから独立したのかが明確でないことです。なので日本という国、そして天皇という存在は「はなからあった」もの、すなわち所与のものであり、外から与えられたものと認識されます。このことが、日本人の愛国心に少なからず影響を与え、諸外国の国民が持つ愛国心とは異なった様相を呈していることは間違いないでしょう。
先の太平洋戦争の反省とからんで、天皇制の是非を問う意見はたびたび出ますが、この議論ではいつも、欧米の物差しで日本を測っているような違和感を持ちます。天皇制を日本の物差しで測れば、現行憲法の「象徴天皇」というのが非常にしっくり来ているのではないかと感じます。
日本がみずからの国の成り立ちをきちんと説明できないのも、神話を語り継げない国になったのも、日本の国の成り立ちがこのように特殊であるにもかかわらず、欧米の基準でものを見ようとしているからといえるでしょう。

そしてもう1点、本書と「日本辺境論」に共通して書かれていたことをあげておくと、ラテン文字の文化圏では左綴じの書籍しかないのに、日本のマンガが認知されると、欧米でも右綴じで書店に並ぶようになったことです。
これは考えてみれば物凄いことで、本書では欧米の文化を日本が変えたということに他ならない、とされています。また「日本辺境論」によると、意味(視覚)と音(聴覚)の両方を持つ日本語の特性が、絵とフキダシを持つマンガとよく整合したことがあげられています。
たかがマンガと侮るなかれ。日本には平安時代には絵巻物が成立しており、マンガの原点だとも言われています。また、マンガを卑下するのは、欧米基準の考え方であることも指摘できるかと思います。

冒頭の食の話も含めて、日本文化は世界に誇ってよいものだといえるでしょう。欧米基準で比較してしまい(というか、欧米の文化と異なるからと言って)、むざむざ捨ててしまうようなものではありえません。
日本文化と欧米の文化は、その本質からして異なるものです。比較する意味すらない。両方のよいところを取り入れて、新しい形の日本文化を作れるはずです。
これまでの私たちの先祖も、そうしてきたのですから。

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