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2011年5月13日 (金)

[読書メモ]吉本佳生『スタバではグランデを買え!』

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学(吉本佳生)

経済学の本ですが、難しい理論をこねくり回すわけでもなく、豊富な実例を元にわかりやすく説明されている本で、たしか発売当初(2007年)のベストセラーになっていたと思います。
自分は昨年、経済学関連の書籍を扱う読書会に何度か参加したことがありました。この読書会では行動経済学の書籍を多く取り上げており、自分が読んでいる経済学の本も行動経済学に偏っているのですが、本書はどちらかというと古典経済学寄りになるのではないでしょうか。

タイトルの「スタバではグランデを買え」は、どの飲み物でもグランデサイズはレギュラーサイズの2倍の量が入っているのに対し、価格は100円しか違わないので一定量あたりの単価が安くなるという顧客側のお得感と、レギュラーとグランデでは1杯あたりの原材料費は数円から数十円しか違わず、1杯あたりの人件費やその他経費もほとんど変わらないことから、店舗側にとっても有利であると述べています。
本書の中では一番わかりやすい事例で、わかりやすいがゆえにページがあまり割かれておらず、タイトルに持ってきた話題の割に内容が薄かったように思いました(誰も不快にしないという意味で、この事例をタイトルに持ってくることは悪くないのですが)。

豊富な事例の中に、新聞や雑誌からの引用が多くなされていることに気がつきました。新聞も1紙だけではなく、日経と朝日が多いのですが、おそらく作者はほぼすべての新聞に目を通しているのだと思います。自分の足で得た情報も多く、座学やネットに頼る文章と違って内容に説得力があります。
たとえば、一物二価のとき、安いほうの価格で買って高いほうの価格で売り、差額を利益とする「裁定取引」は経済学の基本ではあると思うのですが、理論だけではなかなかぴんと来ません。ここに還流(逆輸入)CDの実例を持ってきたことで、非常にわかりやすい説明になっていると思います。ただ裁定取引の説明が最初のほうにあり、還流CDの実例が終章におかれてしまって分断されてしまったので、そこがちょっと残念でした。

日本語では「時は金なり」、英語では「Time is money」ということわざがあります。本書を読んでまず感じたのはこのことわざで、時間は有り余っていてもお金がない学生時代は費用をかけないことを最優先していたのに対し、いまは場合によっては時間をお金で買うような行動を取ることも少なくありません。
時間や労力がコストであると考えれば、そういった行動も納得がいくものでしょう。当たり前のことではあるのですが、ものの価値を決めるのはお金だけではないということですね。

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