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2011年5月 5日 (木)

[読書メモ]田坂広志『これから働き方はどう変わるのか』

これから働き方はどう変わるのか―すべての人々が「社会起業家」となる時代(田坂広志)

「社会起業家」という言葉が使われていますが、本書ではNPOなどをイメージさせる、私たちが普段使う意味(狭い意味)で用いているのではなく、「社会」は私企業、営利企業を含めた自分たちが生活し働く環境全体、「起業」は社内でネットなどを活用して新しい事業を興すことを含めた、非常に広い意味でとらえています。

前半では働きがいを失った社会について述べています。本書の出版は2003年で、小泉改革のさなかにあたります。働き方という面では、小泉・竹中の構造改革により、多様な働き方が一般的になるなど一定の成果を上げた反面、新自由主義の台頭を許し、働く目的がもっぱら金銭や資本の追求となってしまった時期でもありました。
自分が何のために働いているかというと、生活のためでもお金のためでもなく(もちろんある程度の報酬は必要ですが)、自分の手がけた製品やサービスを多くの方に使ってもらい、皆さんに喜んでもらいたいというのが第一にあります。誰しも同じような理想を持って働いていたと思うのですが、不況が長引くにつれて本来の働く目的を忘れ、わずかな報酬のために仕事をさせられているという考え方に陥ってはいないでしょうか。
そもそも「働きがい」とは何なのか、自分自身にももう一度問いかけています。仕事の対価ではなく、仕事そのものに喜びを見いだしている状態、別の本の言葉でいえば「モチベーション3.0」でしょうか。それとも、仕事の成果としてできあがった製品やサービスで、お客様に喜んでいただけることでしょうか。あるいは、仕事を通してえられる経験、スキル、能力の向上を実感できることでしょうか。答えがこの中の1つとは限らないと思いますが、改めて考えてみたいと思います。

後半は(本書で言う広い意味での)社会起業が必要となる理由と、将来の社会のあり方について。本書出版の時点では、バブル崩壊以降の「失われた10年」と構造改革の結果、投資家や株主が力を持ち、企業で働く人間は立場をさらに弱くしてきていました。その後、日本ではライブドア事件、米国ではリーマン・ショックが発生し、行き過ぎた新自由主義に修正を迫られるようになっています。
その結果、何が残ったか。働く目的がすべて失われ、働きがいも取り戻すことができず、仕事の意味について思考停止してしまった人が多くなってしまったように思います。リーマン・ショック後に「ニューノーマル」という概念が現れ、市民の生活は金銭的な部分でレベルを下げました。その代わりに得たものがあるのかどうか、あるならそれは何なのか、ここがまだ明確になっておらず、「以前のような好景気は期待できないから生活レベルを下げる」という守りの方向に入り、成長する意志を失ったようにも感じられます。

これからの社会は、社会起業とは異なる方向に進むのかもしれませんが、自分の生活をどうしていきたいのか、このまま何もしないで年老いていくのを待つだけが人生なのか、今一度考え、自分なりの答えを出し、行動したいと思います。

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