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2011年6月

2011年6月30日 (木)

[読書メモ]むらかみかずこ『できる大人の“一筆添える”技術』

できる大人の“一筆添える”技術(むらかみかずこ)

先日、さとう(旧姓むらかみ)かずこ先生のお話を聞ける勉強会があり、参加してきました。
さとう先生は、口下手で内気だったのが、自分の気持ちを手紙などの文章で表現するのは好きだということでした。手書きのよさを誰よりも感じている人なのだろうと思います。

いうまでもなく、一筆添える技術は多くの人がやっていないことで、だからこそ日常のやり取りに一筆添えたメモを加えると、効果が大きいわけです。ただ、それが面倒なだけで、誰もやろうとしないということですね。

本書では、一筆添えることの心理的なハードルを下げ、逆に楽しくしてしまう工夫が盛り込まれています。
ハードルを下げるほうでは、いわゆる手紙文――「拝啓」から始めて時候のあいさつから書き出すものです――を使わず、気軽に書くことを推奨しています。手紙文の堅苦しさが手書きのハードルをあげているので、そこまで型にはまらずとも、気軽にやればいいのですよ、という作者の声が聞こえてくるようです。この後述べる一筆箋や絵葉書も、書ける分量が少ないため、堅苦しい部分を抜きにすることができる、という効果もありますね。

そして楽しくする方法として、一筆箋や万年筆などの道具を紹介しています。万年筆は工芸品となっているものもあり、高いものでは数十万円もしますが、安いほうは1500円のものもあるそうで、数千円から手に入ります。ペン軸、ペン先、インク(カートリッジ)の組み合わせができるので、店頭でいくつか試させてもらい、自分に合ったものを探すのがよいかと思います。自分は1本だけ持っていますが、何本か持っておくと便利のようです。
一筆箋や絵はがきなどの紙のほうは、もっと求めやすい価格となっており、季節や気分によって使い分けられるように何冊か用意しておくというのがよさそうです。はがきだと切手も必要ですが、郵便局に行くといろいろなデザインの切手が売られているので、一度足を運んで損はしないと思います。

字を書くのが苦手という人もいますが、バランスと余白を意識して、丁寧におおらかに書いていけば大丈夫。自分も字がきれいなほうではありませんし、どうしても急いで書いてしまって文字が崩れてしまうのですが、気をつけることと数をこなすことが大事なのではないかと思っています。
最近の「日経ビジネスアソシエ」には、文字の書き方講座が連載されていますので、そちらを参考にするのもよいかもしれません。

さて、セミナーでさとう先生のお話を聞き、この本を読んだことで、自分でも早速実行に移してみました。
文具店や郵便局などで一筆箋、絵はがき、切手を購入し、セミナーの感想をブログに書いたことをさとう先生に葉書で報告しました。そして今日(6月30日)は仕事の締め日で、請負元の会社に納品物があったので、よろしくご査収ください、今後も頑張りましょうと書いた一筆箋を添えてあります。もうひとつ、大家さんに部屋の契約更新の書類を送ったのですが、この機会は逃してしまいました。そこにも一筆添えたらよかったなあと、ちょっと後悔。
まだ2回だけですが、慣れてくると結構楽しいものです。こういうちょっとした手間を惜しんでいたことで、人間関係で損をしていたのかなと思うこともありますが、これから取り戻せるだろうし、取り戻していきたいです。
大事なことに気づかせてくれた、この本の作者であるさとう先生に感謝です。

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2011年6月26日 (日)

[読書メモ]ゆうきゆう『マンガで分かる心療内科』

マンガで分かる心療内科(原作・ゆうきゆう、作画・ソウ)

この欄でマンガを紹介するのは初めてですが、この本はここで紹介できるだけの価値があると思っています。
まず、心療内科や精神科といったメンタルの領域に踏み込めない、抵抗がある、敷居が高い、と感じる人も多いかと思います。私自身以前は抵抗があり、仕事で悩みを抱えていたけれど医者にどうやって相談すればよいのか、と新たに悩んでしまっていたのですが、勇気を持って一歩踏み切れれば、心療内科がそんなに怖いところでもないと気づかされるものです。
自分は心療内科に通院するようになってからこのマンガを知りましたが、逆の順番で、このマンガから心療内科のハードルが下がり、心の悩みを一人で抱え込む人が少なくなれば、その人にとっても社会にとってもよいことではないでしょうか。

同書は「ゆうメンタルクリニック」の公式ウェブサイトでもほぼ同じ内容の作品を紹介していますが、ウェブサイトのほうが途中をはしょっているものがあるため、話がわかりづらかったり唐突だったりする印象がありました。
また、単行本には、ウェブにない作品も収録されています(逆に、単行本未掲載の作品がウェブにあるのもありました)。

ウェブ未収録の作品ですが、「後悔を抱えたときのたった一つの考え方」(2巻107ページ)が、個人的に強く興味を持ちました。
人はどちらを選択するかで悩んで一方を選択したとき、必ず後悔するようにできている。そのメカニズムについては本書に詳しいのですが、ある価値のものを得たときの喜びと同じ価値のものを失ったダメージは、後者のほうが大きい。また選択で悩むのは両方が同じ価値のときだから、どちらを選択したとしてももう一方を失ったダメージのほうが大きくなるのが当然だ、ということです。
また、選んだほうのデメリット(副作用)は選択してからわかってくるし、選ばなかったほうのデメリットは最後まで見えないということも、後悔につながってくるのではないかと考えています。
後悔するというのは一種のリスクだと思いますが、リスクヘッジ、つまりこの場合だと後悔しないように両方の選択肢のメリットデメリットをきちんと見定めて選択する理由を作っておくこと、そしてそれでも後悔することが当然であると考えておくことが、人生を送るにあたって必要なのではないかと思います。
とくに自分の仕事はITベンチャーで、変化の激しい業界にいますので、選択をためらっていることがより大きなリスクにつながることも多く、決断の早さと常に前を無心の持ちようが求められているともいえるので。

ほかにも自分の身近な話題や、世間で病気と思われていること、たとえばEDであったり、ロリコン(ペドフィリア)であったり、そういったことの正確な知識を与えてくれるマンガです。マンガですから堅苦しくなく、というよりも全編にわたってギャグが仕込まれており、笑いながら勉強になる、メンタルの話をしているのに深刻にならないという不思議な3冊(2011年5月に最新刊3巻が出ています)です。

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2011年6月25日 (土)

[勉強会]2011/6/25 Amazon総合3位!「一筆添える技術」の著者が登場☆セミナーズチャンプルvol.5

○コミュニティ名:読書チャンプル
○名称:Amazon総合3位!「一筆添える技術」の著者が登場☆セミナーズチャンプルvol.5
※別のブログにも同じ情報が掲載されていますので、あわせてご紹介します。
■【イベント】Amazon総合3位!「一筆添える技術」の著者が登場☆セミナーズチャンプルvol.5|吃音・どもり改善応援ブログ☆
○日時:2011年6月25日 18時20分~20時40分
○場所:築地社会教育会館 2F第5洋室(Googleマップ
○参加者:7名+さとうかずこ先生

できる大人の“一筆添える”技術」の著者、さとうかずこさん(著書はむらかみかずこ名義)のお話を聞ける機会をいただき、参加してきました。
実は以前にもさとうさんとは別の読書会、多分昨年のリーラボでお会いしたことがあり、そのときは万年筆の話題で盛り上がったし、私が自分で使っている万年筆のブランドをど忘れしてしまい、さとうさんにセーラーですよと教えていただいたのが、印象に残っています。今回ももちろん、「一筆添える技術」にも書かれている、筆記具や一筆箋のお話もたくさんありました。
そもそもの話として、一手間かけて手書きの文章を作ることが、ビジネスでも人間関係でも、よい効果を上げることは間違いないでしょう。ただ、手書きするのが難しい、あるいは面倒だということで、心理的なハードルが高くなっていると思います。今回のお話で、ハードルは意外に高くないと気づくことができました。

これまで一筆箋というものをあまり意識して見たことはなかったし、正直なところ使い方もよくわかっていませんでした。ですが今回のお話を聞いて、実際に文具店に行って探してみたくなりました。
季節によって、いろいろなデザインがあしらわれた一筆箋や便箋、絵葉書、切手が店頭や郵便局に並びます。見ているだけでも楽しそうですし、実際に使うのにいくつか買っても、使い切れなくてもったいないと感じることもないのかな、と思いました。むしろ、何種類か持っておくことで、気持ちの余裕が出てきて、手書きが苦にならなくなりそうです。
万年筆は値段が張るのであまり何本も持てないかもしれませんが、今回のお話でも紹介された青山にある「書斎館」は、一度見に行きたいですね。

文字は大きく書くことが大事。自分は字が汚いと言われることも多いので、相手のことを思いながら丁寧に、というのも大事かもしれません。
あと文字に元気を与えるために、太い線、青いインクもおすすめされました。自分の万年筆が、太字でブルーブラックのインクを使っているので、たまたまではありますがいい感じです。もっと明るい青のほうが元気よく見える、とのことです。
文章は一筆「添える」という目的からも、あまりかしこまる必要はなく、普段メールを書くのと同じ文体でよいとのこと。ただし相手の社名と氏名(フルネーム)は正確に。文章内で文字を書き間違えて直してもそれほど失礼ではありませんが、名前はそうもいきません。
あとは相手のことを思いつつ書けば、自然と心のこもった一筆箋ができあがります。文字に自信がなければ、紙とペンの選択でもカバーできますよ、とのこと。

ワークは、父の日の翌週なので、父親への感謝の一筆。実際に書いてみましたが、丁寧に書かないと字が乱れて縮こまってしまうので、気をつけたいところです。
さとうさんに見ていただきましたが、自分は紙とペンの選択で文章をカバーしたようです。和紙の一筆箋を使って、万年筆で書いたのでインクがにじんでしまいましたが、またそれが味があるということです。

さとうさんの書籍もいただきましたので、できるだけ早い時期に感想のブログをあげたいと思います。
本日の会を催してくださった、ヘミングさん、六本木ラモーンさんに感謝。
久しぶりのイベント参加だったのに、温かく迎えてくれた読書チャンプルーの皆様に感謝。
そしてもちろん、有意義な時間をくださった、さとうかずこさんと参加者の皆様に感謝です。

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2011年6月19日 (日)

[読書メモ]松下幸之助『道をひらく』

道をひらく(松下幸之助)

昭和43年、40年以上前の出版です。自分が生まれる5年前ですし、歴史的な知識を想像で補いますが、当時の日本は高度成長期のさなか、このまま繁栄が続くと多くの人が考えていたと思います。
変化はそれほど強く要求されていなかったでしょうし、むしろ余計なことをして勢いをそぐほうが嫌われたかもしれません。昨日と同じやり方、隣と同じやり方でうまくいくのだから、わざわさ違う方法をとる必要もなかったのではないでしょうか。
そのような時代背景で、現在のパナソニックの創業者である松下幸之助氏によって、この本は書かれました。元は雑誌の連載なので、単行本になった昭和43年より少し前の文章もあるかと思います。

この本から、私は3つのことを受け取りました。
まず1つ目は、真剣であること。剣道と剣術の話から、元々の意味での真剣勝負に触れ、真剣というのは生命をかけることだと教えられます。本当に生命を失うことはないとしても、何かに真剣に取り組むことによって、生き方や価値観が変わってくることはあるだろうと考えています。
2つ目は、素直さ。完璧な人間などいないし、自分の弱点も含めて、ありのままの自分自身を受け入れることの大切さを説いています。自分自身の成長のためにも、まずは自分がどのような人間で、何に強く何に弱いのか、知っておく必要があります。ところがこの作業が難しく、強がったり逆に卑下したりと、正当に自分を評価できないことがよくあります。自分自身に素直になることが、成長への第一歩ではないかとも感じるのです。
そして3つ目が、スピード感。昭和39年に東海道新幹線が運転を開始し、高速道路や旅客機の航路も広がってきていた時期で、日本国内の移動にスピード感が出てきていたのだと思いますが、40年以上前から仕事でのスピードを大事にしていたことは注目に値します。長時間の残業もいとわないモーレツ社員が評価されていた時代だと思いますが、「働き方のくふう」(本書146~147ページ)には、
「人より1時間、余計に働くことは尊い。努力である。勤勉である。だが、今までよりも1時間少なく働いて、今まで以上の成果を上げることも、また尊い。」
とあります。40年前だと、誰が仕事をしても同じ時間で同じ成果になる、というのが半ば前提にされていたと思いますので、効率を上げるという感覚が当時の読者にどれくらい理解されたのかわかりませんが、その時期にこういう文章を残していた慧眼に驚かされます。

時代は大きく変化していますが、仕事のやり方や経営の本質は変わっておらず、効率化や新しいビジネスがあったとしても本質を見失ったものは淘汰されていっていると感じます。
40年前の文章でも、それが今も変わらない本質を突いていれば、現在読み直しても全く古さを感じさせないというのが、本書のすばらしさでもあります。

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2011年6月12日 (日)

[勉強会]2011/6/12 ビジネス雑誌読書会 in 東京

○コミュニティ名:ビジネス雑誌読書会 in 東京
○名称:【6/12(日)】第14回 ビジネス雑誌勉強会 in 東京【10時~】
○日時:2011年6月12日 10:00~12:00
○場所:エクセルシオールカフェ 永田町店Googleマップ
○参加者:4名
○課題書:
日経ビジネス
5月30日号「置き去り景気」
6月6日号「消費者はこう変わる」
ダイヤモンド
6月4日号「揺らぐ職」
6月11日号「マンション・住宅の新常識」
東洋経済
6月4日号「世界はこんなに動いていた」
6月11日号「原子力」

久しぶりに、ますいさんの「ビジネス雑誌読書会」に参加してきました。
思い立ったのが前日で(本業が忙しくて休日出勤の可能性もあったし)、急いで雑誌を買いに行ったのですが、「日経ビジネス」は定期購読が基本なので入手できませんでした。一番気になったのが、日経ビジネスの「消費者はこう変わる」の特集と、同じ号のAKB48を取り上げた記事でしたので。
かわりに東洋経済(行った書店にはバックナンバーもありました)の「世界はこんなに動いていた」の号がおもしろかったので、その号を購入していざ当日。
今回話題にとりあげられたのも、たまたまではありますが、この2つの特集でした。

日経ビジネス「消費者はこう変わる」は、大震災以降の消費傾向の変化を主に取り上げていました。震災後に自粛ムードが高まり、現在は少し落ち着いてきていますが、何かを買うときに「買う理由」を求めるようになったというのが印象的でした。
確かに自分も、今月冷蔵庫を買い換えたのですが、調子が悪くなった前の冷蔵庫をだましだまし使うか、修理に出すか、買い換えるかの選択になったときに、この夏の節電を理由にして新しい冷蔵庫に買い換えました。
(2011年モデルは2001年モデルから電気代が約3分の1。その2001年モデルも1991年モデルから電気代が約半額になっており、節電能力は年ごとに高まってきています。)
誌面では旅行商品の事例が紹介されていましたが、被災地の観光産業に元気を与えるなどの理由付けを行うことで、消費者に訴えることができているという内容でした。ボランティアや義援金などの活動を直接行わなくても、復興に協力できるという形が作れれば、心理的にも無力感を和らげる効果があるでしょう。同じ理由で、売上額の一部を義援金として供出すると示すことで、商品が売れやすくなるという話もあります。

AKB48の記事は、ちょうど自分が社内勉強会の講師を務め、ビジネスモデルについて話をすることになっているのですが、ビジネスモデルの観点からとらえたAKB48という形で1ページの記事になっていました。
AKB48はモジュール型のアイドルだ、モジュール型とはPCのように完成品を組み合わせて作る商品のことで、できあがった製品に品質差が出にくく、価格競争力に劣る日本が不得手にしている分野だという内容でした。
ただ、「モジュール型」といっているのがユニット内ユニットや、メンバーのソロ活動のことを指すなら、ジャニーズ事務所もモーニング娘。もおニャン子クラブもやっていたわけで、何が違うのかということになります。勉強会の場で出た話では、所属事務所もレコード会社も違うそれぞれのメンバーが、プロデューサーの秋元康のもとで、「AKB48」というブランドを作って活動していることが、他のアイドルグループとの違いではないかということでした。
似たようなものとして漫画週刊誌がそうでしょうし、ゲームソフトの中では「ドラゴンクエスト」が開発部隊を社内に持たない体制だったので、似ているかもしれません。企業体だと、ジョイントベンチャーとはまた違いますし、わかりやすいモデルはないかもしれないという話でした。

週刊東洋経済の「世界はこんなに動いていた」は、震災後に世界のニュースがあまり取り上げられなくなっていた中で、イスラム諸国の民衆蜂起やEU圏内のソブリンリスクがどのようになっていたか、という点がまとめられていました。どちらも、この3か月の間に大きな進展があったとはいえませんが、解決に向かっているわけでもなく、問題は長引きそうです。
イスラム諸国の民衆蜂起は、チュニジアとエジプトで大統領の独裁に終止符が打たれ、リビアやバーレーンなどでも政府と民衆との衝突が続いています。ソーシャルメディアの発展により民衆が情報を得る機会が増え、独裁政治を打破することで抑圧された現状から脱却する(ただしその後の展望が描けているとはいえない)という構図になっています。日本も政府の無策ぶりが露呈していますが、圧政を敷いているわけではないのと、民衆のエネルギーが各方向に分散してしまってひとつの形を取れないのが、日本で大規模な抗議活動が見られない大きな理由ではないでしょうか。
欧州のソブリンリスクは、ギリシャの財政問題が先送り状態になっており、火種を抱えたままです。この話を深く検討する前に、日本の国債問題に移ってしまったのですが、日本の場合は国債のほぼ全額を国内で買っているため、外国が資金を引き揚げる問題は発生しないという点で質が異なる、とされています。とはいえ国債発行額が民間の総資産を超えてしまったときには国債を買う余剰能力がなくなり、日本の財政が破綻するとされていますので、安穏としていられないのが実情。今回はそういった現状の確認でとどまりましたが、解決のための提案はいくつも出ているので、どれが実現可能で何を行っていくか、今後の政府の財政手腕が問われます。

最近、勉強会や読書会に参加する回数が減っていたのですが、参加すれば必ず何かの気づきを与えられます。
うまく時間をやりくりして、参加する機会を増やし、できれば週1回以上は参加できるようにしていきたいですね。

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2011年6月11日 (土)

[読書メモ]タル・ベン・シャハー『ハーバードの人生を変える授業』

ハーバードの人生を変える授業(タル・ベン・シャハー)

以前参加した読書会で紹介され、興味が湧いたので自分で購入しました。
「ポジティブ心理学」のジャンルに属する本で、より健康で幸福なこころを持つために、どういった考え方をすればよいか、52のテーマに分けて書かれています。
もともと大学の授業ですから、1つのテーマを1週間ごとに取り上げたと考えれば、ちょうど1年でこの本のワークが終わるわけです。
本来は本書のワークをやってはじめて、この本を読んだということになるのかもしれませんが、そこまではできていません。でもいくつかは頭の中で考えるだけではなく、実際に手を動かして紙に書いたり、行動を起こしたりしてみれば、もっと深くこの本を味わうことができるのだろうと思います。

第1章が「感謝する」で、各章の頭に「今週感謝すること」という欄が設けられています。感謝が、それだけ重要なものだといえます。
ややもすると、私たちは感謝の気持ちを失い、あるいは失っていないのかもしれませんが、感謝を表明することを忘れてしまいます。どんな小さなことにも感謝することを忘れなければ、小さなことに気づくようになりますし、物事を肯定的に捉えられる、というのは経験的に実感します。
勤め先の経営理念に「感謝を楽しむ」というフレーズがあるのですが、感謝はさせられるものではなく、自分の心の中からわき上がってくる感情として表明するものだ、ということも書いておきたいと思います。自分では感謝したいと感じていても気恥ずかしくて表明できない、逆に感謝するべき状況だから感謝を表明する、といったことが少なくないかと思いますが、これを克服してこそ「感謝を楽しむ」ではないかと考えています。

また、もうひとつ興味深い点として取り上げたいのが、失敗や苦労があっても、それを受け入れることで、これが本書で繰り返し述べられていました。逆に受け入れないで拒絶するのは、「○○でなければならない」という完璧主義に陥ってしまい、また自分の考え方の幅や可能性を自ら狭めていることになります。空気を読み、自分の意志を殺して「よい子」になることだけが正解ではありません。自分の感情に素直になり、周囲の現状を肯定的に受け入れることで、○○でなければならないという思い込みを捨て去ることができるでしょう。

多くの日本人が、長く続く不況と政治の混乱、そして国際競争力の低下から、自信を失っています。変化は悪い方向にしか起こらないようにも見えるし、現状のまま逃げ切ることが最善とも思えます。また、他人に批判され足を引っ張られることはあっても高く評価されることはありませんから、実社会ではできるだけ目立たないように、ネット上では匿名のガードを決して離すことなく、生きていくことが求められているかのようです。
でも、そんな生き方が楽しいとは思えない。守り、隠れ、逃げ、自分の生きる意味を見いだせない生き方だと思うのです。自分が生きているという実感は、誰に強制されるわけでもなく、自分の意志で行動し、自分の感情を素直に受け入れることで、はじめて得られるのではないでしょうか。

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2011年6月 5日 (日)

[Wikipedia]多重アカウントとか管理者への信頼とか

少し前の話になりますが、多重アカウントの利用に対する規制が厳しくなっています([[Wikipedia:多重アカウント]])。
もともとは荒らし対策で、荒らしを行う人間が自分を特定されないよう、過去との連続性のないアカウントを取得し、そのアカウントで荒らし行為を行ってアカウントを放棄する(捨てアカウント)行為を認めないための規制強化だといえます。
この結果1ユーザー1アカウントの原則が強化されたわけで、たとえば以前は自分のアカウントと似た文字列を、悪用の予防のために前もって取得しておくこともありましたが、これも1ユーザー1アカウントの原則に反するものとして、告知するよう求められるようになりました。
それともう一つ、ネットワーク越しにはユーザー単位での識別が容易ではなく、ウィキペディアでは接続IPアドレスなどの情報をユーザーの同一性の判断に使っているとされています。そのため、同じIPアドレスから自分以外のユーザーが接続していることがわかっている場合も、その事実を公表することになりました。
ここまでを前提として、ある「事件」が起こっています。

[[Wikipedia:コメント依頼/婚姻・それに準じる場合のCU権限について]]
[[Wikipedia:コメント依頼/Carkuni 欅]]
ウィキペディア利用者の2人が結婚されて、同じ接続環境になったわけですが、そのことの公表が遅れたこと。さらにその2人がともに管理者権限を持っており、片方はチェックユーザー(上で「CU」とあるのはこれのこと。利用者の接続環境を知り、調査することができる)でもあったため、CU自身が多重アカウントの疑惑を持たれてよいのかという疑念が生じました。
結果、当事者の2人は管理者・CU権限を返上、議論に関わった他の管理者やCUも、CUの相互チェックが働かない、管理者としての信頼を失わせたなどの理由で、あわせて少なくとも4人が辞任する形となっています。

ウィキペディアの投稿から離れて2年になるし、今回の議論にも全く関わっていないのですが、何をやっているのだろうか、というのが正直なところ。明らかに誰の利益にもなっていない方向に議論が向かってしまい、自分たちの作ったルールに自分たちが縛られて勝手に困っている、といったようにしか見えませんでした。
そもそもウィキペディア利用者同士が結婚したからといってその事実を公にする必要があるかというと、その必要性を求める現行ガイドラインが厳しすぎるのだろうということになります。荒らし対策として、1ユーザーが複数のアカウントを持つことに対する制限なのだから、別々のユーザーであることがほぼ明らか(投稿傾向が全く異なるなど)な複数のアカウントに対してまで、多重アカウントの制約を求めることが果たして意味があるのかどうか。
そして、当事者が自分たちがどうしたいのかという意図を示さなかったことで、問題がこじれた感があります。婚姻の事実を公にしてよかったのか、管理者権限を継続して保持していたかったのか、ウィキペディアの編集は継続するつもりなのかどうか。「結婚したため管理者同士が同じ接続環境になるが、問題のある管理行為はしないつもりなので管理者権限を継続して保持したい」といった意思表明が早い段階であれば、同一接続環境にある複数の管理者が起こす問題ある管理行為とは何か、という方向での議論になったかと思いますし、誰もやめることにはならなかったのではないでしょうか。
余談になりますが、管理者間で示し合わせて都合のよい形で記事を編集保護したり特定のユーザーをブロックしている、という疑念が時々立ち上がります。ですがこのことは、その管理者が同一の接続環境にあろうがなかろうが発生する事例なので、今回の問題とは切り離すべきでしょう。
また、結婚したことで、お互いをミートパペット(冒頭の「多重アカウント」の解説中に説明がありますが、自分の意見を多数派に見せるために動員する他のユーザーのこと)にする可能性もあるのかもしれません。これは接続環境とは関係ないし、議論においてお互いの意見は独立した立場でのものであることを宣言する(必要によっては、同じ議題に両方が参加しない)という形で避けられたことだと思います。

対応のまずさが問題を大きくしてしまい、その当事者が管理者であったことで、管理者への信頼を大きく損ねてしまったのではないかと思います。
ウィキペディアの「管理者」の立場ですが、議論のとりまとめや荒らし行為の予防的措置など、経験と能力のあるユーザーの代表として、ウィキペディア全体を守るという考え方と、記事削除やユーザーの投稿ブロックなどの権限を与えられたに過ぎず、一般のユーザーが出した結論に従って問題となった記事などに対処する役割に徹するべきだという考え方があります。
日本語版では前者の考え方で進めてきましたが、これは管理者に対する信頼があってのこと。管理者の信頼が損なわれている現在、ユーザーを信頼して(荒らしもいますし、これが不可能なくらい難しいのは承知の上ですが)後者のやり方に舵を切るか、管理者の信頼回復のためにあらゆる手段を執る必要があります。
正直言って、どちらの方策も取れず、プロジェクトが失敗してもかまわないと考えています。それはウィキペディアの失敗ではなく、日本語版の方針の失敗であり、そもそもの目的――百科事典を作ること――に立ち返ることで、本来あるべき方針を作り直すことができる機会だともいえるからです。

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