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2011年8月 7日 (日)

[読書メモ]立入勝義『ソーシャルメディア革命』

ソーシャルメディア革命(立入勝義)

ソーシャルメディア。日本には真のソーシャルメディアと呼べるものが現れておらず、北米など外国のソーシャルメディアが日本に入る際に日本風にアレンジ、あるいは日本人が使いやすいようにカスタマイズされたものになっていますので、はっきりとした姿が見えづらいところがあると思います。
つい最近の話ですと、twitterに日本語ハッシュタグが導入されたとき、1週間もしないうちに大喜利のお題に使われていました。同じテーマの話題をまとめるキーワードとして使うという本質を、日本人の文化に合わせてアレンジしてしまった事例だといえます。
また、日本ではメディア(情報媒体)というとマスメディアのことであり、個人で情報を発信している人も、マスメディアを経由した情報の存在に(その情報に肯定的であっても、否定的であっても)頼っているのが現状です。マスが取り上げないような情報を個人が取り上げ、継続して流していくような仕組みは、まだほとんど育っていないといわざるを得ないでしょう。

本書第3章冒頭、「日本でソーシャルメディアが立ち上がらない10の理由」は、必読です。ソーシャルメディアに限らず、日本の情報やサービスがガラパゴス化している理由としても、当を得ています。そして10も理由を挙げておきながら、無理に絞り出してこじつけたような部分がなく、日本がガラパゴス化するのはそれなりの根が深い問題だということがわかります。
あと2つ付け足すとすれば、「周囲の反応や空気を読み、自分の意見ではなく空気に流された意見を表明してしまう、横並び体質」と「他人の情報でもうけを得るのはまかりならんとする、マネタイズ意識のゆがみ」があげられるかと思います。
これらは歴史的に日本人が持ってきた性質だという考え方も強いのですが、明治時代の新聞には多くの意見記事が投稿され、あるいは自分の意見を発信するための新聞が多数創刊されたといわれています。メディアは新聞ですが、かなりの部分で現在のソーシャルメディアに近いものを作りつつあったのでしょう。それを考えると、現在の私たちができない理由はないのかもしれません。

ウィキペディアの話も出てきています。私自身、この点を取り上げた筆者のブログを見て、ツイッターにコメントしたことで筆者との意見交換を少し行うことができたのですが、ウィキペディアはソーシャルメディアとしては異質だというのは間違いないでしょう。というのも、ソーシャルメディアの主たる目的が個人による情報伝達であるのに対し、ウィキペディアはそもそもが百科事典プロジェクトであり、いわゆる報道メディアとは一線を画しているべきものだからです。
日本語版ウィキペディアでは、細部にわたって統一したルール作りを好む傾向にあり、また宣伝や売名行為を極端に嫌います。ルールとして何が宣伝であるかを定義できないので、「特筆性」という概念を持ちだして宣伝行為の排除を進めているのですが、ここ1年くらいでしょうか、特筆性の概念が暴走しつつあるようにも見えます。(このあたりは、以前にも私のブログで紹介していますので、そちらを参照ください。)
ウィキペディアの場合、個人の集合知による情報伝達手段、つまりはソーシャルメディアの中に含まれることには間違いないのですが、セルフブランディングの手段としては使えないでしょうし、マネタイズなんてもってのほかということで、やはり百科事典プロジェクトとして考えておくほうがよさそうです。

最後に、日本がグローバル化しない、できない理由として、日本人一人一人が抵抗勢力となっているという指摘がされていることをあげておきます。つまり、旧弊に固執し、多様化を受け入れず、「日本らしさ」という言葉の陰に隠れて新しいものを拒む姿勢は、私たちの誰にでも思い当たるのではないでしょうか。
日本がグローバル化するには、日本のやり方を世界に広めるか、日本のやり方を捨てて世界に取り込まれるか、あるいは個人レベルで日本を捨てて世界に出て行くか、くらいしかありません。第1の方法は、20世紀の前半に日本が行い(台湾と韓国を領土化し、中国本土に戦争を仕掛けた)、失敗しました。第2の方法は日本の言語・文化・制度を捨てて米国(でもどこでもいいのですが)に合わせるくらいのパラダイム変換が必要。だとすると、やはり個人レベルの開国が望まれることになるわけです。

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