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2011年10月10日 (月)

[読書メモ]桑原晃弥『スティーブ・ジョブズだったら、こうするね!』

スティーブ・ジョブズだったら、こうするね! ~カリスマリーダーの問題解決力~(桑原晃弥)

2011年10月5日朝、アップル創業者で前CEOのスティーブ・ジョブズ氏が亡くなったという報道を見ました。それ以前にこの本を買っていたのですが、次にこれを読もうと通勤のカバンに入れていたのがその前の日で、ジョブズ氏の死去が報道されたまさにその日に、この本を読むことになりました。たまたまではありますが、ミーハーだと言われそうな状況ですね。
ジョブズ氏の恩恵にはそれほどあずかっていないと思う自分ですが、それでもmac mini(Windows7を入れていますが)とiPod classicを使っており、アップル製品とは無縁ではいられません。アップル製品を使わないと強く意識していない限り、誰しも何らかの形でアップル製品を利用することはあるのではないかと思いますし、それだけ私たちの生活に大きな影響を与えた人物であったということができるでしょう。

本書から読み取れる範囲でも、筆者の解説というフィルターを除き、ジョブズ氏の行動のみを取り上げていくと、彼の経営手法は言葉はよくないかもしれませんが強引で、ときには無茶苦茶だといわざるを得ない部分があります。それでも多くのアップル従業員が彼についてきたのは、ジョブズ氏が自分の理想を細部に至るまで実現し、それが市場に熱狂的に受け入れられるという実績があったからだといえるでしょう。
常識をひっくり返すアイデアかもしれませんが、実現すれば自分たちもヒーローになれるし、ジョブズのためにも実現させたくなるし、そのためには1日24時間のどれだけを実現のために費やしても惜しくはない、そう思わせるカリスマがあったわけですが、それもジョブズ氏の理想へのこだわりと、成功体験から出てきたものではないかと思います。

最も凄いと思ったのは、ジョブズ氏が過去を徹底的に断ち切る決断力があるということ。エピソードには事欠かず、初期にはApple IIを捨ててMacintoshを開発したこと、アップルに復帰してからはラインアップが混乱していたMacintoshを捨てて4製品に絞り込んだことなどがあげられています。そのほかにも、Mac OS Xで9以前との互換性をかなりの部分で切り捨てていますし、iMacも初代と最新世代で名前以外は全然違うものになっています。
これを今後のアップルに当てはめれば、iPhoneやiPad、あるいはiTunesといった主力の製品やサービスを然るべき時期に切り捨て、次の新しい製品やサービスを展開することになるかと思います。ジョブズ後のアップルに、これができるかどうか、真価が問われているといえるのではないでしょうか。

もしアップルに製品ラインアップを切り替える決断力がなく、今後ずるずると現行製品のバージョンアップを繰り返すのみとなるのであれば、ITサービスの恩恵を受けている私たちの生活にも影響があるでしょう。言葉は過ぎるかもしれませんが、ITサービスが小さな改善の繰り返しにとどまってしまい、正常進化だけで突然変異が生まれなくなる。それはサービスとしての飽和点であり、緩慢な死に至る道のりではないかと思うのです。
自分もIT業界に身を置いているわけで、こういった状況を指をくわえて見ているわけではないのですが、ジョブズ氏と比較されてしまうと自分の圧倒的な無力感を感じざるをえないですね。

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