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2011年11月

2011年11月28日 (月)

[読書メモ]潮凪洋介『もう「いい人」になるのはやめなさい!』

もう「いい人」になるのはやめなさい!(潮凪洋介)

本書のような自己啓発系、生き方関係の書籍は何冊も出ていますが、自分に合うものと合わないもの、言い方を変えれば書かれている内容を実践したいと思えるものとそう思えないものがあります。
どの本が合い、どの本が合わないかは人それぞれによって異なるでしょうし、たとえベストセラーになっているからといって、その本が自分に合うかどうかは、実際に読んでみないとわからないものです。

この本は、非常に実践的で示唆に富む内容が書かれているのですが、自分には少し合わないかなと感じたほうです。「いい男」として描かれている理想の人物像は、自分がなりたい人物像とは、少し違うように感じます。
ただ、その違和感は表面的な言動の部分でのずれだと思いますし、というのも内面の部分で本書を貫くキーワードとなっている、「自分自身の軸、ぶれない芯を持つ」という考え方は、大いに賛同するものです。

そこまでの軸が備わっていない人、自分もその中に入るのでわかるのですが、そういう人は自分に対する自信を持てていません。だから周囲に流されたり、空気を読んだりするわけです。
自信を持ち、自分を曲げず、かといって独りよがりにならない生き方が自分にとっても理想なのですが、なかなかその域に達することができません。それ以前に、どうすれば自分に自信を持てるようになるのか、そこから迷っています。
そういった、自分に対する自信を持てるようになる方法の部分を、もっと掘り下げてほしかったと思いました。前書きでは、「いい人」であろうとするから、自分に自信が持てない、といったことが書かれていましたが、自分の経験では因果関係が逆だといえます。つまり自分に自信がないから「いい人」にならざるをえない、だから「いい人」をやめるには自分に自信をつけることが大事だということです。
結局は地道な努力を重ねていくことしかなく、特効薬的な方法はないのかもしれません。経験による裏付け、その中で得た成功体験は、間違いなく自信につながっていきます。自分はそれだけの努力を避けてきたところはないとはいえないし、世の中的にも効率や成果を重視するようになってきたし、いろいろな方法に手を出してみたものの、成功体験には至っていないというのが現状です。その現状を打破したいわけですが、愚直に行くしかないのかな。

言葉尻を捕まえるようで申し訳ないのですが、本書の理想の人物像、「いい男」なんですよね。はなから女性は読者層として想定していないと割り切っているのか、女性を敵に回すことを恐れていないのか。
自分の中にぶれない芯を持つことは、男女関係なく重要なことですから、そういう展開でも一冊書けたのではないかなと思いました。

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2011年11月27日 (日)

[読書メモ]植西聰『「折れない心」をつくるたった1つの習慣』

「折れない心」をつくるたった1つの習慣(植西聰)

本書のような自己啓発系、生き方関係の書籍は何冊も出ていますが、自分に合うものと合わないもの、言い方を変えれば書かれている内容を実践したいと思えるものとそう思えないものがあります。
どの本が合い、どの本が合わないかは人それぞれによって異なるでしょうし、たとえベストセラーになっているからといって、その本が自分に合うかどうかは、実際に読んでみないとわからないものです。

とはいえ、この本は自分にフィットしているように思いました。フィットしているというか、自分がすでに実践していることも多く含まれているように感じます。現実には、自分の心の弱さを感じることも少なくないのですが、自分の場合は時間をかけてでもそれなりに立ち直れているわけですし、復元力のあるしなやかな心を持つことができているのかもしれません。
自分が意識して身につけた考え方で、この本にも書かれていることとしては、「否定しない」ということです。仕事やプライベートの上で、大きな失敗もするし、叱られたり落ち込んだりすることもあるのですが、そこで周囲の人の考え方を否定したり、現実から逃げたり、自己嫌悪に陥りっぱなしではいけないのだろうと思うのです。もっとも、様々な場面での自分の言動がこの考え方を伝えているわけではなく、むしろ逆に「岸本は否定から入ってくる」と指摘されたりするくらいなのですが、そこは言葉の使い方に気をつければすむ話なので。

もちろん、大きな失敗では自己嫌悪に陥って、落ち込むこともあります。詳しくは書きませんが、最近も仕事で大きなミスを繰り返し、いろいろな人に迷惑をかけてしまい、勤め先を辞めたいくらいの責任を感じていましたが、今は立ち直っています。
その理由としては、1つ目は現実を受け入れて、客観的に前向きに評価する機会があったこと。そのプロジェクトからは外れることになったのですが、事情を知らない他の社員の方に説明するのに、あまりネガティブなことばかり話していても説明にならないわけです。客観的に事情を話しているうちに、プロジェクトを外されたことも現実として受け入れ、次の仕事に前向きに取り組もうと感じるようになってきました。
2つ目は、周囲の方や勤め先が、失敗を取り返す機会を与えてくれたこと。自分がそうであるように、誰もが他人の失敗を「そういうこともある」と許してくれるものです。自分が迷惑をかけたと責任を感じていたところも、相手のほうから見るとたいしたことはなかったのかもしれないし、次に取り返してもらうほうが大事だと思ってくれたのかもしれません。
そして3つ目は、心の折れる行動を取らなかったこと。落ち込んではいたけれど、いつものように会社に出て仕事をする日々を重ねたことで、次第に気持ちも落ち着いてきました。逆に1日でも会社を休んでしまうと、次から出社しにくくなってしまったかもしれません。このあたりは個人差があるので、一度どん底まで落ち込んでしまったほうが立ち直りが早いという人もいるかもしれませんが、自分の場合はということで書きました。

本署に戻って、結局「たった1つの習慣」とは何なのか、というのが疑問に残った人も多いのではないかと思います。あえてまとめていないようですし、そこは読者の皆さんが自分で考えてほしいということなのかもしれません。
自分なりの考えでまとめると、折れない心を作るたった1つの習慣とは、「周囲の人の言動や状況を、否定的に捉えない」ことだということになります。物事や他人を自分の思い通りに動かすことはできないわけですが、自分の思い通りにならなくて当然だと考えていれば、物事を否定的にとらえることもないし、怒りを発散する必要もないわけです。そういう人の心は、本質的に折れないのではないでしょうか。

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2011年11月24日 (木)

[読書メモ]美崎栄一郎『会社って楽しい?』

会社って楽しい?(美崎栄一郎)

勉強会、読書会、朝食会。
いろいろな呼び名はありますが、有志で開催される、あるテーマに対して意見をシェアしながら自分たちを成長させていく集まりということになるかと思います。自分も昨年勉強会デビューしまして、いまでは主催もするようになりました。
勉強会界隈というのがあるとすれば、美崎さんはそのカリスマ主催者です。私も何度かお世話になりましたし、最初に参加して勉強会にはまるきっかけになったのも、美崎さん主催の「築地朝食会」でした。
あらゆる人が仕事や働き方に対する意識を高め、楽しむために、会社以外でも活躍できる場や、人とのつながりを持っておきたい。勉強会は単に人の話を聞き、書籍などから知識を得るだけではなく、家と会社以外の「場」という意味でも大切だと思います。

さて、この本、タイトルからは想像がつきづらいのですが、勉強会を紹介している書籍です。
10人ほどの勉強会の参加者を主人公に、東京を中心に開催されている勉強会や読書会を紹介しながら、勉強会の楽しさを描いています。
人名こそ仮名になっていますが、名前が出てくる勉強会や読書会、そして紹介されている書籍はほぼ全て実在のもので、出版から約2年たっていますが、現在も活動を続けている会も数多くあります。登場人物のほうも、見る人が見れば誰がモデルなのかわかりそうですし、もしかしたら私も、彼らの中のひとりふたりとお話ししているかもしれません。
(美崎さん自身をモデルにした人もいるようなので、1人とは確実に会っていますね。(笑))

単なる勉強会の紹介にとどまらず、ストーリー仕立てで書かれているため、登場人物の個性が引き出されています。いくらかの脚色はあるにしても、モデルは普通の社会人ですから、勉強会に参加することで、その人の考え方や生き方が前向きになり、生き生きと描かれるようになるのでしょう。
情報を受け取るだけではなく、自分の意見を発信できる人。与えられたものだけではなく、自分から人との交流を求めていく人。そして何よりも、家と会社の往復だけではなく、勉強会という自分を成長させる場に足を運べる人。
とくに目的意識がなくてもいいのかもしれません。第1章に出てくるユウさんのように、楽しいから参加する、それだけでも十分、勉強会に参加する意義はあると思います。

勉強会の楽しさを伝える1冊で、帯にもあるように「ありそうでなかったビジネス書」です。しいていえば、勉強会とはどういうものかというのを、初めのほうでもう少しかみ砕いて説明してあればと思いました。私のように、すでに勉強会に参加している人には内容が理解できるのですが、この本で初めて勉強会の世界に触れるような人だと、導入の部分でやや唐突な印象が残ったかもしれません。

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2011年11月20日 (日)

[読書メモ]ゆうきゆう、大和まや『やさしすぎる人の心理術』

図解 もうひと押しができない! やさしすぎる人の心理術(ゆうきゆう、大和まや)

『マンガでわかる心療内科』などのゆうきゆう先生と、「女医マヤ先生の悩み相談室」の大和まや先生の共著です。メインの執筆はゆう先生が担当されているようですが、マヤ先生のほうが上司にあたるようです(2003年時点での「女医マヤ先生の悩み相談室」のプロフィールより)。

2人とも精神科医で、心理学的立場からの人付き合いの方法を40のテーマに分けて解説しています。それぞれのテーマに印象的な見出しがついていますので、それぞれのテーマに名前をつける役割を果たしているように思います。
自分は人の名前を覚えるのが苦手で、この見出しも全然覚えられなかったのですが、中にはそういう人もいるということで。まあ、ややこじつけ気味のタイトルもあるにはあるのですが。

さて、よく言われる、部下などを叱るとき、一般論よりも「自分がどう感じたか」を伝えると相手の心に響きやすい、という話が最初に出ています(「赤と黒」)。同じように、誘いの断り方、謝り方、提案の仕方などで、人間関係を悪くせずに相手に受け入れてもらいやすくする方法が、各テーマごとに示されています。
その中で自分がもっとも心に響いたのは、「四つの失敗」と題されたテーマ(86ページ)。自分もいろいろな失敗をしてきていますが、そのときの理由として、自分自身が改善できるところに原因を求めれば、次に同じ失敗をしなくすることができます。同じ内的要因(自分自身が原因)でも、改善できないところに理由を求めてしまうと、できない、やらない理由となってしまって課題を解決できなくなってしまいますから、どのように改善するのかを見つけていくのかが大事だということになります。

職場の人間関係だけではなく、彼氏・彼女との恋愛における人間関係でのテーマ設定も多く、相手の考えがわからなくてひとりで勝手に悩んでしまう人(自分もその傾向があります)は、こういった書籍で得た方法を試してみるのはよいのではないかと思いました。
また、書名に「やさしすぎる人」とついていますが、むしろ、もっとやさしい人になるための方法論がちりばめられているように思いました。もっとも、他人のいいなりになってしまうのでは元も子もないので、必要な部分は自己主張できるようにという意味で、この書名なのかもしれません。

余談。
「ミスト・ウォーカー」のところ(38ページ)、『マンガでわかる心療内科』に全く同じエピソードが出てきています。
作者が同じ人なので盗作ではないのですが、同じテーマを扱うにしても、切り口を変えるくらいの手間はかけてほしかったかな。ちょっと残念に思いました。

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2011年11月14日 (月)

[読書メモ]橋本治『大不況には本を読む』

大不況には本を読む(橋本治)

著者の橋本氏は小説家、文芸家で、本書のような経済評論は本職ではないと書かれています。団塊世代の人でもあり、高度経済成長やバブル崩壊も体験し、出版業界(ここでは小説などの読み物を想定)は不況に強いといわれていた時期も知っているというところから、話が始まります。
そして橋本氏の持論につながるわけですが、高度経済成長が日米の貿易不均衡を拡大し、日本が輸入を拡大することを米国に押しつけられたことから、バブル経済とその崩壊による不況が起こったと考えているようです。
(余談ですが、日本のTPP参加の論評でも同様の意見がありました。輸入拡大を米国が押しつけ、日本がそれを承諾する流れはいつも同じですが、それで日本への輸入を拡大できたのは、米国ではなく中国や韓国だ、という話は皮肉なものです。)
今世紀に入ってからのサブプライム問題、それに続くリーマンショックは、欧米各国が実態のないものを取引することで利益を得ていた構図が崩れたこと、日本は先進国の中で唯一「ものづくり」を主力としていたため金融不況の影響は受けなかったものの、実体経済が止まってしまって大きなダメージを受けたこと、などが主張として展開されています。

さて、出版が不景気に強いのは今は昔の話ですが、「ビジネス書ばかり売れて、小説が売れない」という嘆きが事実なのかどうか。自分は小説は読みませんが、自分の感覚では、電車の中で本を広げている人の半分は、小説です。ビジネス書や各種試験の問題集などの技術書を読んでいる人も多いとは思いますが、かなりの人が小説を読んでいるように思います。もちろん、何を読んでいるかまでのぞき込むことはできないものの(自分は乱視で遠くの細かい文字は見えないし)、隣や前の人の読んでいるものはちらっと見えることがあるので、そのときの感覚では、小説が読まれていないということはないと思います。
ただ、今では小説も娯楽のために読まれるものが増えてきてしまっていて、教養として読まれる小説は減ってきたのかな、と感じます。ベストセラーとなった『ハリー・ポッター』シリーズも『1Q84』も、娯楽的要素が強いでしょう。タイトルには「大不況には本を読む」とありますが、多くの人が心のよりどころとできる書籍は、ほとんどなくなっている、とはいえるのかもしれません。

そして、本書の最大の問いかけは、「今回の不況はどのようにして終わるのか」「どうなれば不況が終わったと認識されるのか」でしょう。これまでの不況との大きな違いは、経済を動かすシステム自体の構造問題であり、元の状態に戻れないことです。なので成長率や失業率で不況を脱したかどうか判断することは難しく、新しい経済システム、場合によっては資本主義を乗り越える概念の構築が必要になってくるかもしれません。
産業革命以降、経済成長を続けてきたことが限界に達したという表現もありました。とはいえ、人間は本質的に自己の成長を求めるものだと考えていますし、人間の集合体である社会や経済も、成長すること、進化することが究極の目的でしょう。これまでの経済成長の延長線には、新たな時代はないかもしれません。ですがそれは成長を否定するものではなく、別の形での変化、進化という形で新たな社会の成長を見ることができるかと思います。

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2011年11月13日 (日)

[読書メモ]中谷彰宏『反射力』

「反射力」早く失敗してうまくいく人の習慣(中谷彰宏)

自分が好きな著者の一人、中谷彰宏さんの最新著書です。
中谷さんには多くの著書がありますが、時流に乗せられているもの、今読まないと時機を外してしまうものというのは少なく、流行を超えた普遍性のあるメッセージを発信し続けていると感じています。

そして、この本にも中谷さんの考え方が色濃く表れていて、常に前向きで、フットワークが非常によいのが印象的です。やや乱暴にまとめてしまうと、即断即決が信条ということになるかと思いますが、それは「拙速」とはどう違うのか、という部分で考えるべきところがあるかなと思います。拙速かどうかなんて考える暇があるなら、まず動け、という考え方もないわけではありませんが。
即断即決と拙速とが違うのは、PDCA、またはPDCでいうCの部分、つまりCheck/Seeが機能しているかいないかというところでしょう。早く動いて失敗であれば、やり方を変えて別の方法をとればいい。とにかく動いて同じ誤りを繰り返すのであれば、それこそ単に拙速なだけだし、考えていて動きが取れない、あるいは出遅れて取り返しがつかなくなるのでは、PDC(A)でいうP(=Plan)の段階で止まってしまい、D(=Do)に進めていないということです。

勤め先のコア・バリューの中に、圧倒的なスピードという基準があります。依頼された案件に対して、どれだけ短期間で成果を出すかというところは、他者に対する差別化要素となります。本書で述べていることと、根は同じといえるでしょう。
自分自身も業務のスピード感については意識を高くするようにしており、与えられた作業に対して、予定の期日に間に合えばいいというのではなく、前倒しで作業にかかれるように動いています。上司や担当者が意図した形の成果を出せているのか、途中の早い段階で確認を取り、方向が違うなら修正していく時間を作るようにしています。
自分の作業が粗いのは自覚しているので、早い段階であらを見つけておかないと、後々になってから発覚すると問題が大きくなってしまうということもありますからね。

本書ではっと思わされたのは、「モチベーションに頼らず自動化していく」というところ(74ページ)。時間を忘れ、その作業に没頭できるフローの状態を作れれば作業効率は非常によくなりますが、コンスタントに成果を出すためにはフローの状態でなくても動くことが必要。そのためには行動を自動化、仕組み化することのほうが、フローを作り出すために時間を使うよりも短時間で作業ができるのですが、自分もそこを理解できていませんでした。
自分はフロー至上主義に陥っていたかもしれません。ですが今は、フローがなくても仕事ができる、そのほうが仕事の仕方としては、より理想に近い形になると感じています。

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2011年11月 7日 (月)

[読書メモ]木山泰嗣『憲法がしゃべった。』

憲法がしゃべった。~世界一やさしい憲法の授業~(木山泰嗣)

4月に勤め先の朝礼で社長が紹介してくれた本で(作者と知り合いなのだそうです)、5月3日の憲法記念日にエントリーできればよかったのですが、なかなか入手しなくてこの時期になってしまいました。
1946年の11月3日が現憲法の公布日(施行は翌年5月3日)ですので、11月3日に書きたかったのですが、それも叶わず。11月3日の前に読んではいたのですが。残念。

さて、自分の住む国の最高法規である日本国憲法について、案外知らないことがたくさんあるということを改めて知りました。付則も含めて103条あるのですが、巷でいわれる「憲法改正」はそのうちの第9条(もちろん、戦争放棄の条文)しか見ていないと言っていいでしょう。首相公選制だ、一院制だという意見も時々出てきますが、これらを実現させるのに憲法改正が必要だとはあまり認識されていないようです。つまり、首相を国会の議決で選任するのは憲法の第67条で、二院制は42条で規定されているわけです。
そういったことを考えると、この国のあり方を考える際に、憲法がどういうものであるのか今一度考えてみることは、決して無駄なことではないといえます。

日本国憲法の三大原則は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義(戦争放棄)。学校で習っているはずなのですが、忘れている人も多いかと思います。忘れているというより、空気のように当たり前に私たちの生活に根付いているので、改めて問われると答えが出てこない、といったほうがいいかもしれません。
ただ、この「当たり前」が、現代の日本だからという部分はあり、国民の人権が尊重されていない国は世界には数多くあります。また、日本も帝国憲法では軍隊を持ち戦争が必要だと考えていたわけで、そういった歴史の反省の上に成り立っている憲法であることも、忘れてはならないと考えます。

本書は戦争放棄についてはさらりと書いてある程度で、残りの2つについて重きが置かれています。法の下の平等、国民主権、精神活動・経済活動・身体の自由、国民の三大義務(教育・勤労・納税)など、憲法が規定していることは多岐にわたりますが、そのそれぞれについて、具体的にどういうことなのか、なぜそのような自由が認められているのか、といった憲法の精神に触れる部分をしっかりと書いてくれています。
自分がこの文章を書けるのも「表現の自由」が認められているからですし、IT会社で勤めているのは勤労の義務を果たすとともに、職業選択の自由があるからです。

私たちの生活は、憲法によって守られています。当たり前すぎて忘れていることが、この本を読んで思い出すことがたくさんあるので、何かの折に読んで損はない一冊です。
憲法改正の議論も、それ自体は大事なことではあるのですが、憲法の精神を忘れてしまっては困りますし、精神をないがしろにするような改正はどうにも賛成しづらい、そう思っています。

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2011年11月 6日 (日)

[読書メモ]ダニエル・ピンク『ハイ・コンセプト』

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代(ダニエル・ピンク)

『モチベーション3.0』などで知られる、ダニエル・ピンク氏の著書です。原著が2005年の発行と少し古いのですが、この本をテーマとした勉強会があると聞いて、手に取ってみました。残念ながら勉強会のほうには都合がつかなくなってしまったのですが、書籍は十分に読む価値があったといえます。

まず衝撃的だったのが、社会のIT化とグローバル化にあわせて、自分たちの仕事が価値を失っていく、という事実を突きつけられたことです。それは私が勤めるIT業界、システム開発の仕事も例外ではなく、コストの安い外国と競争できるのか、その仕事自体がITに取って代わられないか、と考えていくと、いずれコスト競争に陥り、仕事に対する報酬がどんどん下がっていくことになります。
勤め先で、社長が労働集約型の業務にならないように常に意識していく、といった趣旨のことを繰り返し話していますが、まさしくこのことにあたるかと思います。「労働集約型」という言葉がまだ自分の中で咀嚼できていないのですが、辞書的な意味では人間の労働力に対する依存度が高い状況のことで、働く側も楽ではないし、いつシステムや低コストの労働者に置き換えられるかわからない、という不安の中で働くことになります。

よく言われるのが、新しいことを考えることは機械にはできないわけで、その部分を人間が仕事にしていく必要がある、となります。本書にはその方法として6つのコンセプトが示されており、これからの働き方を考える上での重要な指針となります。
本編は導入として人間の脳の構造を扱うのですが(ここだけ見ていると訳は大前研一ではなく、茂木健一郎かと勘違いしてしまう(笑))、美的センスや感情を司る右脳の力を、もっとビジネスに生かしていくことが求められています。
6つの「ハイ・コンセプト」は、左脳優位な考え方だけでは決して達成できず、右脳優位の領域を生かしていくものとなっています。つまり仕事で成功する方法は論理や数式によってマニュアルが作れるものではなく、誰かの示した方法に従うだけではダメだということになります。

(1)機能だけではなく「デザイン」、(2)議論よりは「物語」、(3)個別よりも「全体の調和」、(4)論理ではなく「共感」、(5)まじめだけではなく「遊び心」、(6)モノよりも「生きがい」。
こうやって並べると、先日この世を去った、あるIT起業家の名前が浮かんできます。
その人物、スティーブ・ジョブズ氏は、iMacやiPhoneといった独特なデザインの製品を次々と発表し、低迷していたアップルの業績を世界一のレベルまで引き上げました。また、自分たちの製品に物語を与え、ユーザーがアップル社の製品を使うことでステータスが高まるように仕向けました。もちろん競合他社が現れるのですが、デザインや物語性の部分、そしてユーザーへの共感という部分で、アップル社とは大きく水をあけられていると感じます。

各章末には6つのコンセプトを手に入れる手がかりとなるサイトや書籍、考え方などの情報が出ています。英語のサイトが多いのでどこまで参考にできるかわかりませんが、考え方などは意識していくことはできそうです。

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