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2012年6月13日 (水)

[読書メモ]渡邊奈々『チェンジメーカー』

チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える(渡邊奈々)

世界の社会起業家18人を取り上げ、それぞれの取り組みをまとめた書籍です。2005年の出版ですが、日本人も3人か取り上げられており、日本にも社会起業が根付きつつあるのを感じます。
社会のための活動としては、ボランティアやNPOといった、利益を求めない形での活動が一般的ですが、社会起業家として一定の収益を上げながら、社会のための活動を行っていく人も増えてきています。
位置づけ的には営利企業とNPOの中間ということになります。この位置での活動が増えていけば、社会貢献活動のあり方も、善意や奉仕に依存する形一辺倒から、持続可能なビジネスとしての方法もあるのだと認知されていくでしょう。

また、女性の活動家が多いことも感じました。営利企業のビジネスよりも、社会起業のほうが女性が活躍しやすいのかもしれません。男女の差はないはずですが、女性のほうが新しい形の活動に対してより積極的なのか、社会への問題意識が高いのか、いろいろな見解がありそうです。
社会起業家が女性の活動しやすいフィールドであるとするなら、社会起業を進めることは、女性の社会進出を促すことにもなり、日本にとっては一石二鳥の戦略ということにもなります。国を挙げて推し進めるべき、とはいわないものの、私たち一人一人が社会起業を理解し、差は買い起業家を応援、支援していく気持ちを持つことが必要だと言えます。

社会問題は、自分が知らないだけで、世界の至る所に見いだせます。貧困、病気、戦争、圧政、そして子供たちの問題など、そういった問題の影響受けていない自分たちが、いかに恵まれた存在なのかと感じます。
そしてそういった社会問題に苦しむ人々に、救いの手をさしのべる人たちは、本当に素晴らしい活動をしていると思います。また、理念だけでは具体的な行動に移せないので、社会を巻き込んで活動資金を得ながら、理念を実現するか藤堂を継続する姿勢には、ただただ頭の下がる思いです。
社会貢献をビジネスとして行うなんて、理念を営利で汚す行為だと考える人はいるでしょうか。もしいるとするなら、ボランティアに頼った活動では早晩行き詰まり、理念を達成できないのではないか、と考えるべきではないでしょうか。

あとがきの、日本人には恵まれない人に対するcompassionが足りない、という指摘を聞いて筆者が衝撃を受けたという話、自分も同様に感じました。昨今の生活保護受給の問題でもあらわになっていますが、物事を損得でしか考えず、思いやりを持たない非難は、私たちの心に何をもたらすのでしょうか。
もっとも、compassionがないのはずっと以前からの話で、学校教育の場でも形式的で実感を持たない「思いやり」が教えられてきていたし、そもそもcompassionの概念を説明する適切な日本語がないことが、何よりの証拠でしょう。

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