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2012年8月 5日 (日)

[読書メモ]中森勇人『心が折れそうなビジネスマンが読む本』

20120805__2心が折れそうなビジネスマンが読む本(中森勇人)

心が折れるような経験は、誰しも多かれ少なかれあるだろうとは思います。私自身、仕事で思うような成果が出なかったり、大きなミスをしてしまったりして心が折れそうになったことはあるし、(10年近く前ですが)その結果で体調を崩して2か月ほど休職したということもあります。
とはいえ、自分の経験に比べれば著者のほうがずっと波瀾万丈の生き方をしてきていますし、本にできるだけのことはあります。ただ、その分読者は自分のこととしてとらえられなくなって参考になりづらかったかもしれないし、自分事としてとらえてしまうと余計に心が折れる気分になったかもしれません。自分も、読んでいてつらい思いにさせられたところが何か所かありました。

フルタイムで雇用されていれば、1週間168時間の半分くらいは(通勤や休憩も含めて)勤務先に拘束されている、言い方を変えれば仕事に関わっているといえます。だから仕事で心が折れるような事態を避けるには、仕事そのものをポジティブにとらえていかないとならないでしょう。ワークライフバランスが叫ばれていますが、これは仕事以外の部分を軽視しすぎた反動で生まれたものであり、仕事が苦痛であるという前提があるのは違和感を持ちます。
話がそれましたが、自分に与えられた仕事をポジティブなものにする方法はいくつかあります。まずは与えられた仕事の意味を理解すること。私たちはロボットではなく、感情を持つ人間ですから、なぜその作業が必要なのか、いつまでに成果を出さなければならないのか、理解すればモチベーションにもなるし目標にもなります。「理由など説明する必要はない、いいからやれ」などという上司や経営者は今でもいるのでしょうか。いるとするなら、成果への障害となっているので改善を求めるべきでしょう。

もうひとつは、相手の立場からものを見てみること。ひとつの仕事には様々な利害関係者がいます。指示を出す上司もそうですし、顧客や取引先も成果物を享受する立場です。1つ目の話ともつながりますが、相手の立場から与えられた作業を見れば、なぜ自分がそれをする必要があるのかが見えてきますし、自分がそれをうまくやれば、あるいは逆に失敗すれば、誰にどんな影響があるのかも見えてきます。
上司が口うるさいのも理由があります。それは仕事を順調に進めるために必要なことを知らせてくれているのかもしれないし、自分に対する期待の大きさなのかもしれません。また、顧客を喜ばせるために何をすればいいのかという考え方から、気配りや改善も生まれてきます。これらは自分の立場からものを見ているだけでは決して気づかないし、気づいたとしても小手先のテクニックであって応用が利かないものになってしまいがちです。

本書で残念だと思ったのは、そういった他者の視点がなく、自分がうまく立ち回っていくためにどうすればよいか、という話に終始しているところです。著者は会社に疎まれ、追われた経験や、事業を立ち上げたときには資金を持ち逃げされた経験があるわけで、社会を信用できないと感じているのかもしれませんが、やっぱり何か違うよなあ、というところです。
仕事や自分を客観的、相対的にとらえること。そして逆に心が折れる行動、たとえば会社を休んだり辞めたりするのではなく、いつも通りの行動を積み重ねていくうちに時間をかけて気持ちを立て直していくことが、心を折らないためにとるべきなのではないでしょうか。

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