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2012年8月11日 (土)

[読書メモ]白取春彦『超訳 ニーチェの言葉』

20120811_超訳 ニーチェの言葉(白取春彦)

近代を代表する哲学者であるニーチェの著作から、私たちの生き方や働き方、自己啓発につながる文章を切り出してまとめたものです。
ニーチェの哲学については詳しくないのですが、代表作『ツァラトゥストラはかく語りき』の「神は死んだ」というフレーズや、ニヒリズム、そして晩年は狂気に蝕まれたことが知られています。
本書ではそういった思想の背景にはあまり触れず、ニーチェの著書に残された言葉を再構成して、現代を生きる私たちがどう生きるべきか、ひとつの提案を示してくれています。もともと箴言や格言に満ちた、短い文章の形式で書かれており、言葉をこねくり回した難しい表現は使っていなかったようなので、こういった再構成もしやすかったのだろうと思います。

ニーチェの著書は1880年代に集中しており、日本でいうと帝国憲法発布前の文明開化の時期に相当するわけですが、その言葉は現在の私たちにも生きるヒントとして伝わってきます。また、名経営者やスポーツ選手などが高く評価された実績を背景に、自身の生き方や考え方を語るのとは違って、ニーチェは著作そのものが実績であり、背景となるものが他に何もないのに高い評価を得ている、ということにも考えさせられました。
言葉や思想が単なる理想で終わるのではなく、またその時代の流行として捨てられてしまうわけでもなく、自分にも実感をもって伝わる言葉になっているのは、やはり時代に左右されない思想の軸があったからだといえるでしょう。

印象が強かったのは、「働くこと」をポジティブに評価し、仕事をよいこととしていることです。現代でこそ働きがいを意識し、仕事そのものに喜びを見いだせるような形になってきていますが、19世紀後半当時の労働は苦しいものであり、生活をしていくための手段でしかなかったといわれています。
その中で働くことを肯定的にとらえ、働くこと自体に意義を見いだすことばは、当時の民衆にどれだけ伝わったかわかりませんが、21世紀を生きる私の心にはすとんと入ってきました。

本来は、ニーチェの思想に触れずに、うわべの言葉だけを拾って読むのは反則かもしれませんし、その意味で原著を(ドイツ語は読めないので、日本語訳でですが)読んでみたいし、読むべきではあると思います。ですが、こうやって思想と切り離した形で読んでいくことで、本質ではないとして切り捨てられていた部分にスポットライトが当たるということもできるかもしれません。

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